会社設立と仕訳という決算のための作業
会社設立の登記も終わって、いよいよ会社法人としての事業開始となれば、それに伴って、商法による商業帳簿の記帳というものが義務付けられることになります。
この帳簿の記帳は、複式簿記によるものでなければなりませんが、これはつまり、事業活動に伴って発生するお金の出入りは、全て貸方、借方の双方によって帳簿に記帳し、勘定科目ごとに分類しておくという記帳方式です。
このように、貸方、借方の双方から事業活動に伴うお金の出入りが帳簿に記帳され、それが勘定科目ごとに分類されるようになっていることで、その後に仕訳という作業ができるように配慮されている、というのが複式簿記という帳簿の記帳方式なのです。
この複式簿記によって、日々の記帳がなされる帳簿には、貸方と借方の双方に、勘定科目名が付されたお金の出入りが全て記録されることになりますが、これを勘定科目ごとに分類して集計することで、それが最終的には決算書というものになって行くわけなのです。
この勘定科目ごとの分類、集計作業のことを仕訳と呼んでいるわけなのですが、この作業が何故行われるのかといえば、決算書を作成するためには、この勘定科目の分類、集計という作業が不可欠だからなのです。
決算書の主たるものといえば、損益計算書と貸借対照表ですが、損益計算書には会社の収益の状況が表され、貸借対照表には会社の保有する資産の状況が表されることになります。
勘定科目は、資産、負債、資本と、費用、収益という五つのグループに大別されるのですが、この内、費用と収益は損益計算書に集約され、資産、負債、資本は貸借対照表に集約されることで、このそれぞれが会社の収益状況と資産状況を表す決算書となるのです。
そもそもが会社設立の目的とは、利益を出せる会社法人を運営するということですから、その利益が出ているのかいないのかを判断するバロメーターとなるものが当然に必要となるわけで、それが決算書なのであり、特にその損益の状況を表すものとなる損益計算書なのです。
このために、会社設立に際しては、事業に伴うお金の出入りを勘定科目ごとに記帳して、それを仕訳することで決算書を作成することができる、という複式簿記による商業帳簿の記帳というものが、商法によって義務付けられているのです。
株式会社の場合、会社設立に際しては出資者が出資を行って、その出資額に応じた株式を取得して株主となるわけですが、この株主たちは会社の損益決算書を見て、自分が出資して会社設立した営利法人が儲かっているのか損
しているのかを判断する、ということになるわけです。
また、会社に運転資金の融資を行う銀行は、貸借対照表を見てその会社の資産状況を把握し、その担保価値を判定することで、融資額の枠を決めることになるのです。